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財布


場所:ドイツ(フュッセンからミュンヘンにかけて)

財布と言えば、もう忘れる しかないですね。財布といっても、小銭入れなのですが、紛失 しました。紛失場所は、フュッセンのノイシュバインシュタイン城からの帰り のバスか、フュッセンからミュンヘンへの電車のどちらかです。

無くしたのに気づいたのは、すぐ。駅でサンドイッチを注文してお金を払おう としたら、ない!ない!ごめんなさいして、電車に直行。幸い、ミュンヘンが 終点で、さらにもう21時を回っていたので、電車は今日一日の役目を終えて、 そこに留まったままでした。ただ、電気は消されて、真っ暗でした。とにかく、 中に入れてもらおうと、駅員さんを捕まえて、お願いしました。が、その人、 駅員さんじゃありませんでした。 いつもの焦りがまた出 て来たようです。その人、ろれつが回っていませんでした。いつもだったら、 そんなのすぐ分かるはずなのに…。

本物の駅員さんを捕まえて、ドアを開けてもらいました。開けてもらって気付 いたのですが、あの電車ってドアが電動じゃないから、誰でも開けられるんだ よなぁ。はぁ…。やっぱり混乱しているらしい。一番ろれつが回っていないの は、私でした。

そして、自分の席をくまなく探す…。しかし、ありません。電車の席では、歩 き疲れてリラックスしていたものですから(足を向かいの椅子に放り出したり、 あぐらをかいたりしていました)、その時スルリと、とも思ったのですが、で も、ありません。

次は、遺失物取り扱い所。話をすると、届い ているものを見せてくれました。しかし、その中にはありませんでした。当た り前と言えば、当たり前です。ついさっき無くしたばかりですから…。その人 は、明日もう一度来てみたら…?っと言ってくれました。そうするのが一番妥 当のように思えました。

次の日に、また来ました。…しかし…。なんてこった。昨日の人はいなくて、 別の人が、ドイツ語でまくしたてます。どうやら、こう言っているようです。 ここは、ドイツだ。 ドイツ語を話せ、バッ キャロ。……。でも、Ich nicht spreche Deutsch. くらいしか言えません。 第二外国語として、ドイツ語を取っていたのですが、とても細かいことは言え ません。細かいことどころか、道くらいしか尋ねられません。普段なら、それ だけでも素晴らしく役に立つのですが、この場合は、まったく歯が立ちません。

途方に暮れました。彼の言い分は尤もだし(日本に来たら、日本語勉強してね、 外国のみなさん)、だからといって、今はそうも言ってられません。その前で、 頭を抱えていたら、その人も少し心配してくれたようです。駅の地図を出して、 ここに行ってごらんっと助け船を出してくれました。でも、そこに行って何に なるのだろうっとも思いました。

そこは、すごく親切なツーリスト・インフォメーションでした。私は、その人 に事情を話しました。すると、彼はフュッセンに電話をかけてくれました。そ して、バス会社に問い合わせをしてくれたのです。結果としては、小銭入れは そこにもありませんでした。でも、私にできることはやったし、サクっ と諦めがつきました(その日、ミュンヘンを後にする予定だったので)。

ツーリスト・インフォメーションの人が言うには、小銭入れの現金100マル ク(一万円)が原因で戻ってこないだろうっとのことでした。でも、私が諦め られなかったのは、実は、中学生の時の親友に誕生日プレゼントに貰った小銭 入れそのものと 国際学生証でした。 国際学生証は写真付きですし、それのおかげで戻ってくることがありうるかも しれないっと淡い希望を抱いていたのでした。

国際学生証、旅半ばで、紛失…。それは、学割が効かなくなることを意味して おり、節約旅行をしている私にとっては、結構痛かったです。

おまけ: その後、フランスの語学学校に少しだけいたのですが、その時もらった学生証 で代用していました。勿論、期限は切れていました。それが見つかったのは、 ドイツのミュンヘンの天使の塔の一度切りです(その際は、あ、更新しなきゃっ とか言って逃れました。うさんくさそうに見られましたが…)。


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