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私服警官もどき?

場所:ザルツブルク(オーストリア)からミュンヘンへの国境超えの列車の中…。

そろそろ国境超えたかなぁっと、同席した(コンパートメントだったので) 年配の イギリス人のご夫婦と話していました。そこへ、いつものごとく車掌 さんらしき人が、パスポートを見せろとやって来ました。でも、何やら怪しい。 まず、制服を来ていないため、車掌さんらしくない。そして、なぜだか警察だ とか名乗っている。幸い、身分証明書らしきものも提示しているので、私は、 それを彼の手から取って眺めました。しわくちゃ(紙製で、それを裸 で持っていました)で、どうも本物には見えません。その証明書をイギリス人 のご主人に回しました。彼も、手にとって、しばらく眺めた後、 「You are NOT police...」と彼に向かって言いました。もどき君は、 「Yes, I am police.」と返しました。そして、手をお腹 にやって、ぐいっと上着を引っ張りあげました。そこには、コルセットにすっ ぽり収まった拳銃 らしきものが…。

彼は、それを徐に引き抜きました。そして、銃口を我々に向け、3回引き金を 引きました…。唖然と見ているよりしょうがありませんでした。普通なら、 3人とも重傷です。が、我々は、傷一つありませんでした。なぜかというと、 彼は引き金を引かなかったし、銃をコルセットから抜くこともしなかったから です。つまり、これは、あなたをびっくりさせるためのトリックだったのです。 ごめんなさい。

話を戻して…っと。

私は、それをはっきりと見ることができましたが、本物かどうかは分かりませ んでした。拳銃なんて見たこともないのに、一目見て分かるはずなどありま せん。それは、小学生のモデルガンのようにも見えました。しかし、その効果 は十分でした。奥さんは、がさごそとバッグをあけ、ご主人と自分のパスポー トを取り出し、彼に手渡しました。私も、それにならいました。我々のパスポー トを確認すると、彼はドアを閉めて出て行きました。おそらく他のコンパート メントに行っても、疑われることは間違いないでしょう。だって、どう考えたっ て、本物にゃみえないんですもん。そして、またあのチラリズム