割り込み

コロンビア入国の際のおもしろいお話。

私は、パナマの首都パナマシティからコロンビアの首都ボゴタまで、空路で行 きました。そして、パスポートコントロールの窓口には、いつものように長蛇 の列が…。私も、渋々並ぶことにしました。

そこへ、新たに飛行機が到着したのか、人がゾロゾロとやってきました。彼ら は、前の様子を探るようなフリをしながら、さっと割り込みをやりました。勿 論、ちゃんと並んでいる人たちは、納得が行きません。

割り込んだ人たちに対して、文句を言います。割り込んだ人も、負けずに屁理 屈を返します。声も、段々と荒立たしくなります。あれよ、あれよという間に ちょっとした騒ぎに。セキュリティがやってきました。さすがに、一旦休戦と 思いきや、割り込まれた人たちは、セキュリティに訴えます。割り込んだ方も、 何やら反論します。そうすると、セキュリティも どっちを信用していいのか分からなくて、困っている様子。挙げ句、 大した問題じゃないと判断したのか、どっかに行っちゃいました。

この騒動の間、一人の割り込み屋(?)が素早い行動を取りました。我々の列 の窓口が空いた時、次の人(次にパスポートコントロールを受ける人)が後ろ を見て、その騒動に気を取られていたのです。それを見ると、割り込み屋、そ こへそそくさと行ってしまったのです。

さぁ、今度は我々の列。ちょうど私の後ろにいたお父さんが、その窓口に猛然 と歩いていきます。セキュリティもそれに気付いて、彼に近づいて行きます。 ちょうど窓口手前で、二人はぶつかったのですが、お父さんが何やら言うと、 気迫負けしたセキュリティは引いてしまいました。

そして、窓口に到達したお父さんは、我々と係官を隔てる壁の役割をする、パ スポート置き場に、拳をドンっとやっ て、「ふざけるな、コイツは割り込んだんだ」と割り込み屋を指さして、 何にも悪くない係官をどやします。係 官は、女性だったのですが、びっくりした様子。割り込み屋には、何の質問も しないで、スタンプをポンと押してしまったのでした。

その後は、その割り込み屋に対して、一斉に大ブーイング。割り込み屋は、み んなの方を振り返った後、割り込んだ時のように、そそくさと行ってしまいま した。そして、文句を堂々と言ったお父さんに対しては、拍手喝采。

コロンビアも入国管理がウルサく、入国に出国のチケットが必要だとパナマの 旅行会社で聞いていたので、ドキドキだった(勿論、私は片道しか買わなかっ たので)のですが、係官も含めて、もうみんなその騒動に気を取られていまし た。何の質問もされず、私もポンとスタンプをもらったのでした。ふぅ、良かっ た、良かった。


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