国境越え

ボリビアのウユニからチリに抜ける時のお話。

ホントは、ウユニからカラマ(チリ)まで、バスで行っちゃう予定でした。と ころが、バスが午前4時ということと、さらに前日の夜にチケットを買いに行っ たら売り切れで、3時にこれば席があるかもしれないっとか言われて不確定だっ たせいもあり、(わざと?)寝坊しちゃいました。


ウユニ(ボリビア)塩湖(塩の湖。水はありません)

で、結局鉄道で行くことになったのです。南米は、全く鉄道が発達していない 大陸です。久しぶりに(カナダで VIVA に乗って以来だから、2ヶ月ぶりくらい でしょうか)電車に乗りました。

電車は、やはりバスより快適で、あっという間に(4時間くらいですが、そ れでもずいぶん早く感じました)国境につきました。月曜日と木曜日に電車が あって、月曜日は国境止り、木曜日はカラマまでなのですが、その日は運悪く 月曜日(って、ヘタすりゃ3日も待たなきゃいけないんだから、ラッキーと 言わなきゃいけないですね)。国境止りの日です。

ボリビアの国境で終点。我々は降りました。そして、ボリビア側の入国管理局で パスポートコントロール。そこの係官、世界のお金を集めているらしく、日本 のお金はありませんか?と尋ねてきました。少し持っていましたが、バックパッ クの奥の奥に積めてあったので、持っていませんとウソを言いました(ごめん なさい)。あ、でも、結構この手の人はいるので、

いつでも出せるところに、日本円を忍ばせておく

のも良いと思います。

さて、次にチリ側。ボリビア側からは、4km離れています。それも、砂漠の ど真ん中です。みんな大きな荷物を背負って歩いています。仕方がないので、 私もバックパックを背負って歩きました。

チリ側に着いて、ようやくパスポートコントロール。しかし、運悪くお昼休み で、13時まで開かないとさ。暇なので、そこにいた、エクアドル人と話しま した。別に、他愛もない話です。どっから来たのとか、どこ行くのとかです (それ以上のスペイン語は無理っす)。

13時になると、何やら楽しげに話しながら、何人かの人たちがやってきまし た。入国管理の方たちです。制服ですぐに分かりました。しかし、仕事になる や人が変わってしまいました。楽しげに話していた人達の一人が、私が話して いたエクアドル人を徹底的に尋問します。エクアドルから来たんだって?お金 いくら持っているの?800ドル?そんな大金どうやって手に入れた?仕事、 何をやっているの?嫌みも混じります。エクアドル人にとって、チリはさぞか し物価が高いだろうなぁ。そして、鞄の中身をすべて出して、畳んであった衣 服を全部チェックして、空っぽになった鞄をも厳重にチェックしています。そ のエクアドル人は、涙目になってきました。多分、恐ろしいというより、何で こんな目に会わなきゃなんねぇんだという情けなさだと思いました。そして、 最後には、足でドカッと開けられた個室に、顎でしゃくられて、彼は入ってい きました。

次のエクアドル人の女性も、やっぱり泣きそうになるまで、チェックされてい ました。泣きそうになったので、勘弁してもらったという感じでした。次は、 いよいよ私です。こんな厳しい入国管理ははじめて だったので、ドキドキでした。私は、バックパックを外部から揉むよ うに調べられ、デイパックの中身を、外に出さずにチェックされただけで済み ました。

っと、ビックリ。実は、これ入国管理ではなく、所謂、税関でした。ここでは、 パスポートにスタンプが押してもらえないのです。もう一度、今度はスタンプ をもらわなければいけません。さっきのエクアドルの女性、一人ずつ入る入国 管理局の小さな部屋から20分くらい出てきませんでした…。中からカチッと 鍵の掛けられた音も聞こえました。私はというと、すぐにスタンプがもらえま したが、すごく複雑な思いがしました。

これで、チリの入国も完了です。ですが、今度の話は、まだ終わりません。続 きがあります。後は、カラマ(チリにある町の名前)まで行くだけですが、バ スがやってこないのです。待てど暮せど、やってこない。挙げ句に雨が降って 来ます。私は、入国管理の警官の詰め所に、厄介になることができました。コー ヒーをご馳走になり、シャワーまで。へへん(自慢のつもり)。

そう言えば、長い時間待った国境の警察官詰所には、大きなシェパードがいま した。う、さすが国境と思いきや、足が悪そうでした。シェパードらしく賢そ うに見えたのですが、突然暴れ回ったのにはびっくりしました。暴れ回ると言っ ても、誰かを襲うということではなく、何か体の内部の痛みに一人でのたうち 回っているという方が正確でしょうか。牙をむかれたときは、ドキっとしまし た。

17時くらいにバスはやってきました。しかし、バスは満杯で、我々が乗るス ペースはありませんでした…。3時間待って乗れないのは、悔しくてたまりま せん。そこにいた人達20人くらいは同じ心境でした。バスを囲みますが、結 局バスは行ってしまいました。その代わり、本来ならないバスを走らせてくれ るっと言います。話では、22時に来るとか言っていました。

待つより仕方がありません。私は、現地通貨を持っていませんでした。だから、 両替を試みましたが、非常にレートが悪いのです。そこで、ボリビアの現地通 貨、ボリビアーノだけをチリペソに変えました。それも、ほぼすべてバス代で 飛んでしまうはずです。無駄遣いできません。お金がないとは、惨めです。現 地通貨がなくなる度に(米ドルでは心許ないのです。そんなもん見たことないっ て言われれば、ただの紙切れなので…)、そう思いました。

21時、詰所を出た私は、再び外で待っていました。すると、寒いからと、一 人の男性が家に招いてくれました。とは言っても、レストラン(非常に小さな) なので、お腹減っていたら、なんか食べてくれってなもんでしょう。私は、我 慢しました。そこでは、何人かの人がコーヒーを飲みながら、ピザを食べてい ました。私は、彼らが出て行った後、残りのピ ザに手を着けました…。で、それが見つかってしまいました。そした ら、そこの店の女性が、200 Peso と言いました。日本円では、100円に満 たない額ですが、現地通貨を払いたくありませんでした。私は、残りものなん だからいいじゃないか(悲しい…)、と主張しました。そこへ、ご主人登場。 ここに案内してくれた人です。鶴の一声で、私はお咎めなしとなったのでした。 その後、結局1ドルで、ちょっとした食事をとりました。

23時、遅れたバスはやってきました。そのバスは、順調に走りました。午前 3時、バスはカラマにつきました。まだ、真っ暗なので、明るくなるのを待ち ます。そして、6時、薄明かるくなったところで、アントファガスタに行くと いう男性2人といっしょに、バス会社に向かったのでした。バス会社について、 サンティアゴ行きのバスを確認して、ようやくチリに入国した実感がわいて来 ました。

そう言えば、バスを下りる時、野良犬がやって来ていて恐かったなぁ。それに 対するボリビア人は強かった。犬が逃げちゃうんだもん。俺にはできんと思い ました。

長い長いお話。ここまで、読んだあんたは偉い。Thanks!


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